こんにちは!
今回はニュースで見かける不正請求の話題ですよ。知っておかないと知らないうちに不正に加担させられてしまうこともあるお話ですので、整骨院・接骨院に通っていたり、これから通おうと思っている方は参考にしてください。
たまにニュースになる整骨院の不正請求って何なの?
どんな悪いことをしているの?
なお、本記事の内容は、柔道整復師である筆者が実際に見聞きした内容を元にしており、全ての整骨院が不正を行っているという趣旨のものではありません。
整骨院の保険請求とは
そもそも病院やクリニックではあまり聞かない不正請求の話が、整骨院ではよく話題になるのはなぜでしょう。
あなたは病院に診察を受けに行ったことはありますか?ほとんどの方が診察を受けたり処方を受けたりしたことがあると思います。
何かしら症状があって診察を受けに病院に行く場合、保険適応であれば治療費の7割~10割が保険から支払われるため、あなたが窓口で支払う金額は残りの0~3割ですよね。保険適応でない治療を受ける場合などは全額自分で窓口支払いをする場合もあるかもしれません。
それに対して本来、整骨院(接骨院)では全額あなたが窓口で支払いを行います。そのあと各保険会社にあなた自身が保険金を請求して7割~10割の金額を返してもらう仕組みです。これは償還払い(しょうかんばらい)と呼ばれている仕組みで、整骨院での窓口の支払いは本来すべてこの形で行うものになっています。
ただ、毎回患者本人が全額をいったん支払って、保険会社に請求して…すごく手間がかかりますよね。だから特別に、患者本人から依頼があれば、整骨院(柔整師)が患者にかわって保険金額を保険会社に請求できることになっています。この方法を使うことで患者さんが治療費全額の立て替えをする必要がなくなり、保険会社への請求をする手間も省けます。この方法は受領委任払いと呼ばれていて、保険取り扱いのある多くの整骨院で採用されています。
この支払方法を使うことで、患者本人は病院やクリニックと同じように「窓口で自己負担金のみ支払う」ことで治療を受けることができ、面倒な保険会社への請求手続きから解放されます。
受領委任払いの問題点
整骨院が行う受領委任払いを適応させるには、「1か月間の通院日数・ケガの部位・ケガしたきっかけ」などを書き込んだ既定の用紙に、患者本人が確認・サインをする必要があります。
整骨院が行うのは「1か月分の内容を書き込んで」から「患者さんに内容を確認」してもらって「サインをもらう」順番です。あくまで患者の代わりに保険請求を行うという形です。
つまり、整骨院側が保険請求を行うには、通院のあった患者を次の月に呼び出して確認とサインをしてもらわなければいけなくなります。
当然、患者にサインをしてもらえなければ保険請求ができず、整骨院が赤字になってしまいます。
治療のある月の途中で患者さんが入院してしまった・利き手の治療で通院していて物理的にペンが握れない・白内障で書類を見ることができないなど、患者さんによってさまざまな事情があって確認やサインができない場合もあります。
確認やサインを患者側にしてもらえない場合は、本来の償還払いの方法に戻って患者本人に治療費全額を支払っていただいて、患者本人が保険会社に請求をしてもらうことになります。しかし、サインひとつでその手間から逃れられることを知っている方からは理解が得られないこともままあります。
具体的な不正は?
整骨院側も治療代が回収できなければ困ってしまいます。
これを回避する目的で、月の最初の来院日に白紙の保険請求用紙にサインだけもらって、あとで内容を書き込めるようにしている整骨院が存在します。こうすることで、患者のサインがもらえなくて保険請求ができない、という事態を避けられます。
しかし、上で説明した通り、保険請求を行う内容は患者自身が事実であることを認めてサインをする必要があるため、手順通りでないこの方法では悪用されてしまうことがあります。
- 来院日数を水増し
- 治療箇所を水増し
- 治療部位を虚偽申請
などが主な不正です。
来院日数の水増し
患者さんが白紙の請求用紙にサインしてしまい、請求内容を整骨院側にお任せしてしまうことで、実際には通院していない日も通院のあったことにして請求が行われる可能性があります。
水増し日数分の治療代を保険会社から詐取する手口です。患者本人からは実際の通院の度に窓口負担金を受け取るだけなので、不正請求に加担させられていることに患者本人が気づかないことが多いです。
治療箇所の水増し
こちらも白紙の請求用紙に患者がサインしてしまうことで、整骨院側で行われる可能性のある不正です。
実際に治療を行っている箇所の他に、架空のケガを組み合わせて追加で保険請求する手口です。
こちらも患者本人は窓口負担金を支払うのみですので、患者本人が気づかないことが多いです。
治療部位を虚偽申請
そもそも、整骨院で保険診療となるのは、「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」のいわゆるケガのみです。
つまりこれら以外の慢性的な「肩こり・腰痛・ひざ痛」などには保険適応されません。しかし患者さんの中には整骨院を「保険がきくマッサージ屋」という誤った認識をされている方もいて、「マッサージ目的で来院した患者に保険適応にならないことを言いづらい・保険適応にしてあげた方が患者が喜ぶだろう」などといった考えで本来保険請求できない症例を不正に保険適応にしてしまう整骨院があります。
当然、「肩こり・腰痛」では保険請求ができないため、保険申請書類には「捻挫・打撲」などの保険適応になる病名をつけて申請を行う方法です。
さらに慢性的な肩こりや腰痛は通院期間が長引くことも多く、一般的に捻挫や打撲の治療期間を超えて通院されることも多いため、保険会社に不正を疑われないようにするために別の部位を新たにケガしたことにして保険請求を行っていることも。
この不正に関しては患者側が正しい知識を知っていれば、加担させられることなく防げる不正です。
不正に加担しないために
整骨院で行われる不正請求の多くは、保険会社に対しての詐取で患者が気づかないことも多く、保険会社も患者の直筆サインがあることで調査がしにくいのが実情だと思います。
あなた自身が損しなくても限りある保険金は本当に困っている人が正しく使うべきです。
未記入の保険請求用紙にサインを求められてもサインしない。
ひとこと、「全て記入がおわってから確認したい」と伝えればいいです。
また、保険会社から「保険利用の確認書類」が届くことがあります。どんな理由で何日間整骨院に通ったかを患者本人に記載してもらって不正請求が行われていないか確認するための書類です。整骨院で「確認書類は難しいので、もし書類が届いたら当院にお持ちください」なんて言われても、難しい質問はありませんのでわかる範囲で書いて返送しましょう。
まとめ
以上、整骨院の不正請求と不正に加担しないための注意点でした。
この記事は私が実際に勤務していたときに勤務先や同業者から見聞きした内容であり、全ての整骨院で不正が行われているという内容ではありません。